Gaspard et Lisa au japon
ガスパールとリサ、日本にて
ねたばれるよ。ちゅううううういっ(初出記事へ)
とうとうやって来ましたニッポンへ !!
いらっしゃいませー。まず表紙だが、最初「どうしてもフジヤマサクラというのが日本のイメージなんだねえ。ゲオルクさんともあろうお方が」などと思ったけど、編集者の差し金かも知れないね。いやただの憶測。普通のフランス人・ドイツ人にとって、やはり日本というのは遠い国だ。ヨーロッパのヒトビトにとっては日本の位置さえ定かでないことが多い。世界地図では右端か左端に歪んだ形で載っている筈だから。ステロタイプとしてどうしてもこうなるのかな。いやいやむしろ、MANGAの国、ANIMEの国としての表紙でなかったのは子供たちへの啓蒙かもよ。深読みし過ぎかな。アンヌ/ゲオルクさんにとっては、圧倒的にサブカル的影響を強く受けた国としての日本が濃いと思うのだ。だから敢えて伝統的な面を・・・・・・などと憶測は尽きない。
以下、思いっきり「ねたばれ」になるので、邦訳出るまで待つという方は飛ばしてね。
p.1-2
京都だか奈良だかのホテルの受付。フロントの背景はフジヤマサクラなのに椅子は赤いあのデザインアリンコチェアである。外国人向け日本の観光ホテルらしくパネルが沢山。新幹線とのぞみか何か、鹿の公園、多分瀬戸大橋、五重塔のある寺、多分厳島神社。リサは一人でパンフレット類を見て(漁って
?)いる。リサパパの膝でリラがお姉ちゃんを気にして振り返っているのが可愛い。
ん ?!
違うのか、これ日本に来る前のフランスにあるツーリストビューローという可能性もあるな。ポスターの日本の綴りがJAPONになってるし、日本なら外国人向けでもJAPANと書くよね。それに次のページが・・・・・・
p.3-4
飛行場なのだ。着く前のド・ゴール空港なのか着いた後の成田なのかは判らない。待合の椅子は青。今回のキャストリサ一家(除姉)+ガスパール総出演。二人はリュックサックを持っているけど、やはり通学鞄と同じくガス赤、リサ黄、柔らかそう。肩掛け紐が色違いになっている。折角だからこういう小道具を商品化したらいいのに。買うよ。ワンポイントに二人をあしらうだけで充分。
p.5-6
赤い座席に全部液晶モニターがセットされているのは、わたくしの知る限りではヴァージンアトランティックだと思う。ロンドンで乗り継いだのかな。このページに映ってるのはリサだけ。ほんの少しとなりにガスの影も見えるけど、はっきりそれとは認められない。この巻の語り手がリサであることを示している。いわゆるカメラ目線というやつなのだ。リサは沢山映画を見て、とうとう日本に着いたと言っているが、そうなんだよね・・・・・・直行でも13時間かかる。ましてロンドン乗継だったら待ち時間があるしね。自分の経験ではその後初めてモスクワへ行った時、9時間が短く感じられた。シベリアを越えたらもう着いた、って感じだった。
p.7
ここからは日本の風景。我々にとっては見慣れた風景でも、ドイツ人画家の手にかかるとこうなる。ゲオルクさんの絵具使いはちょっとゴッホ風のところがあると感じるんだけど、そう、日本の風景油で描くとこてこてと暑苦しいんだよね。看板には漢字らしきものが見える。読み取れないけど、「田」の字だけは判る。成田、とか書いてあるのかな
? 四角い字ばかり。
今回の旅でゲストキャラクター「フクシマさん」が出て来る。案内役。ヴィクトリアが学校のドイツの知り合いのところへ行っているためにガスパールが代わりに来たと説明するパパ。でも、物語り的にちょっとそれ都合良過ぎないかなあ。ガスを出すためにイジワルねーちゃん抜かしたみたい。
p.8
タクシーの中 !
いかにも日本だよなーと思う。あの、タクシー座席にかかっているレースみたいな白いシートね。こんなものフランスには無いからね。ガスも入れて一家みんな後部に座れている。まあそのくらいの大きさでしょうな。
p.9
タクシーの車窓から見る日本の風景たるや・・・・・・ええそうなんですよこれがアジア的ということさ。無節操に並んだビル、広告、看板、いやはや・・・・・・
p.10
珍しいと感じたのかなあ、タクシーの運転手のカード。「8836-25大田陽一」か何かに読める。フロントガラス越しに見える風景は、よく考えるとおかしい。日本は左側通行ですよゲオルクさん
! これわざと ?
p.11-12
宿に着いた。リサは床に寝るということに余程興奮したらしくリュックサックを放り出して蒲団に大の字。障子の窓際にいわゆる旅館の座椅子と座卓。前景は板の間かな
? ガスが14インチくらいのテレビを見ている。普通、テレビって畳の間に置いてないか ?
するとみんなの泊まった部屋はとても広い二間続きなんだろうか。因みにテレビにはフジヤマサクラが映っている。案内チャンネルかな。
p.13
そして問題のアレです。ウォシュレットというのは日本だけだったのか。でも、フランスは便座はなくてもビデはあるというお国柄(うわ)。
曰く、飛行機の操縦席みたい、とな。ええええそうでしょうとも。ママが止めるのにガスがそそのかして沢山あるボタンを押してみちゃったからさあ大変。
p.14
びっくりガス、本邦初公開ぎゅっと閉じたリサの目。でも可愛いよ。パパ怒る。
p.15-16
フクシマさんが贈り物をくれた。とても柔らかいスカーフ、日本の字でリサの名前が入っている。でも、直前の変更だったらしくガスの貰ったのはヴィクトリアの字入り。それでいいのかなあ。色柄もちょっと甘口だし。
ここのページ背景がホテルの部屋の窓からとは思えない。どこなんだろう。ビルに大きな広告文字が入っている。「月曜日×月」「えひ」「ヒル」など読めるようだが・・・・・・印象だろうね。資料見て描いたとは思えない。
p.17
初めての日本食。懐石弁当みたいだ。箱の中に小さな箱が沢山あって、変わったものが中に入ってる、変な匂いとな。パパに食べるよう言われたけど、二人ははじめ渋る。食堂では何だか判らないものなんか食べる必要はないよ、と。パパまた怒る。
p.18
食べてみたら美味しかった。よかったね。問題はお箸が使えなかったから沢山食べられなかったことだってさ。それなら手づかみでもいいじゃないか。ここの絵は今後ランチシリーズ商品化に使えそうだよ。
p.19
それからお寺へ。靴を脱いでスリッパを履くことになっているという語り。一読ではなんということも無い説明だが、後の事件で生きて来る。フクシマさんと並んだパパは身長耳まで入れて150cmくらいかな。
p.20
青いスリッパを履くととても静かに歩けるのでパパやママとはぐれてしまいそうだった。でも、フクシマさんがついててくれたから大丈夫だと。フクシマさんは二人の写真を撮ってくれている。
p.21-22
そして最大の問題が。渡り廊下をスリッパで降りる時、どうもリサがガスのスリッパの後ろを踏んづけたらしいよ。ガスは石庭へぴょーんと放り出され・・・・・・
p.23-24
CATASTROPHE ! 二人ともフクシマさんの上に墜落。
p.25-26
翌日は金閣寺らしい。何と、フクシマさんは脚を石膏で固めて杖をついて来た。パパはどうしたんですか、とびっくりするがフクシマさんは典型的な日本のイイヒトである。大したことありませんよ、言いつつ二人にはウィンク。
p.27
池のほとりで、二人はギプスに落書きする。
p.28
脚を吊っている時淋しくないように。ガスは赤で四重の塔、リサは黒で飛行機、ハート、星、A、エッフェル塔、自画像、カタカナで「リサ」。
p.29-30
こてこての日本の寺。朱色が匂ってくるようだ。
おしまい。裏表紙は桜の色のつもりなんだろうか、でもかなり濃いマゼンタとコーラルの間くらい。
感想はまた改めて。
(2006/09/02/samedi)